講師ブログ
2018年2月24日
0勝1敗1引き分け ~早稲田大学○○合格~

「言います!あの・・・えっと、0勝1敗1引き分けです!」
「・・・引き分けってなにーーーー?!」
早稲田大学の文学部と政治経済学部の合格発表報告です。
1引き分けとは・・・そう、補欠合格。ちなみに文学部。
「ほんまに合格かはまだわからなくて・・・めっちゃそわそわするんすよー!僕、東京行くことになるんすかねー」
「でもいいんです!僕、このまま補欠で終わっても悔いはないです!やりきりました!ありがとうございました!」
補欠合格は、私にも初めての経験でした。
結局、補欠がホンモノになることはなく、「やりきった」とすがすがしく卒塾した彼は、同志社大学の学生になりました。
高3の7月。体験授業に来た彼の望む指導方針は、なかなか独特でした。
「絶対に僕に合わせてほしいんです。余計なことはしたくない。自分に足りないのは現代文だけなんです」
確かに英語、日本史は偏差値70。でも国語は45。
彼との受験勉強は「国語の苦手要因」を分析することから始まりました。
ご要望どおり現代文。
「なぜその答えになるのか」を解説しながらやり取りしていたときです。
「いやいや、だってこの筆者おかしいじゃないですか!こんな比喩使わなくったって、普通に読んでたら通じるし!なんすかこれ!」
・・・なるほど。“自分ならこうは考えないのに症候群“か。
彼のいう「筆者のおかしい部分」とは、つきつめると単純に「自分と考えが違うところ」でした。
はいはい、それは授業後に聞くね、と言うと、ご本人も思わず苦笑い。
そこで私は、こう尋ねました。
「古文、大丈夫なの?」
自分の主観で読むクセがついている人は、実は古文で本当に苦労するんです。
古語は、現代語よりも一語のもつ意味に幅があります。
また、文法もいわゆる助動詞「べし」の「ス・イ・カ・ト・メ・テ」や、敬語表現など、ひっかかりポイントってたくさん!ただの丸暗記に頼ると痛い目にあってしまいます。
さらに“主語が書かれていない”ときたら、もうお手上げ?!
幸い、彼の基礎力は十分にあり、古語と文法の暗記、知識には問題ありません。
そこで、徹底的に主語を取らせました。「誰が」「何が」とひたすら言わせる。主述のズレがないことを確認したら、文法に忠実に、その現代語訳をひたすら書かせる。
案の定、彼は
「たったこれだけの和歌にこんな意味を含ませるなんて、この主人公おかしい!」
「こんなに主語が省略されてる文章、わけわかるわけない!」
なんて叫んだ日もちらほら。
でも私には、「もっと知りたい。もっと深く本質に迫りたい。そんな自分を認めてほしい」という気持ちの表れのように感じました。そこで、寝殿造の構造などの古文常識や、そのウラ側などの指導も盛り込み、「自分の許容範囲」を広げてもらいました。
現代文の授業も「筆者の主張の根拠」を洗い出し、まずは正答率を上げた後、どうしても「おかしい!」点は深く掘り下げ、政治や経済についての自分の意見を言わせて、彼の知的欲求に応えます。
はじめの「僕のやり方にあわせてほしい」という宣言はどこへやら。素直に愚直に取り組んだおかげで、成績を安定させられるようになりました。
高3の12月模試では、国語の偏差値65。
入試前日には「現代文だけがやばいと思っていたけど、古文やってよかった。自分で見つけたやり方以外で、自分が納得できる勉強法を教えてもらってよかった」と話してくれました。
あの「引き分け」報告には、実は続きがあります。
「先生と二人三脚でやってきたんです。この補欠、ありがたく今後の人生に活かしますよ。
早稲田の補欠、絶対合コンで受けると思うんです!がんばります!!」
おぉ・・・そうか。うん、そういう気概は大切やな!(笑)